once again〜season2〜
「氷室さん…顔、真っ赤ですよ」

「言うなよ、俺だってこんな事、言うの初めてなんだ」

初めて…って

「えぇっ!嘘っ!」

私はあまりの驚きに大きな声を出していた。

「佐伯!声が大きい」

慌てて、自分の口に人差し指をあて、静かにと言う、氷室さんを見て私は、我に返った。

「あ、す、すみません」

半個室の席だったけれど、近くにいた人達は、何事かと私達の方を振り返っていた。

「俺もこんな気持ちになった事にびっくりしてるんだ。気がついたら目で追っていた。好きになってた。嘘じゃない。本当なんだ。信じてもらえるだろうか」

こんな氷室さんを誰が見た事があるだろうか。
いつも自信に満ち溢れ、言葉巧みに周りの人達からの信頼を受けている、この人が。

「こんなに真剣に思ったのは、初めてなんだ」

「氷室さん…」

ここまで言われて、疑う事なんてあるだろうか。

もしかしたら、ちょろいよ、騙されてるよ、って周りの人は言うかもしれない。でも、今まで私の周りにいた男性とは違う。

この人だったら、私だけを見てくれる。

そう思った。
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