once again〜season2〜
「私でいいんですか?」

「佐伯じゃなきゃ…意味がないんだ」

私を見つめたまま、テーブルに置いていた手に指を絡ませ氷室さんは、
私じゃなきゃ意味がないんだ、私が欲しいと言った。

「よろしくお願いします」

私は返事を返した。

「ありがとう。幸せにするよ」


絡めた指の力が一層強くなった。


「美玲って呼んでもいいのかな?」

「えぇっ!それは…」

「それは、ってダメかい?」

「会社では…ちょっと…」

「じゃ、プライベートならいいって事だね。美玲も匠って呼んでくれると嬉しいんだけど?」

「…っ、は、はい」

いざ、付き合うとなっても私は、当分このドキドキからは逃げる事が出来ないだろう。

氷室さん…匠さんか。
涼香になんて言う?
びっくりするかな、有里華もびっくりするかな、ううん。きっと、やっぱりね、って言うかな。

私は、新しく開いたドアの前に立っていた。

前に進もう、匠さんと共に…。

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