once again〜season2〜
第3章…有里華
Pi Pi Pi Pi


「う、う…ん」

鳴り響く目覚ましを取ろうと、手を伸ばした。

「あれ?」

あるはずの目覚ましがなく、手は空を切る。

「おはようございます、有里華お嬢様」

「…おはよう…えっ?」

目覚ましの変わりに、いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。
その声にびっくりした私は慌てて飛び起きた。

「な、なんで…」

「なんで?はぁ、有里華お嬢様、いい加減慣れていただかないと」

「へっ…」

ボー然とする私に向かって、執事の葛城は恭しく頭を下げ、おはようございますと挨拶した。

そう…この葛城は私の家に仕える執事。
元々、父の執事にと、勉強していたが、いつのまにか私専属の執事になってしまったのだ。

葛城のお父様も執事。父の執事を今も務めている。

え?執事がいる家って何って?

そうだよね…執事がいる家って普通はないよね。お手伝いさんぐらいよね。

私の父は、父で4代目になる華月流の華道の家元。

物心ついた頃から、執事が私の身の回りのお世話をしてくれていた。
まだ私が子供の頃は、別の執事の人がついていたんだけれど、高校生の時に今の葛城に変わった。

葛城は、イギリスの執事学校を首席で卒業した、超がつくほどの逸材だと言われて、華月家に来た。

そして…今に至っている。

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