once again〜season2〜
心地よい音楽が私の眠りを加速させた。

華月流の一人娘として生まれた時から、私には自由がなかった。

お嬢様と呼ばれ、何不自由のない生活を送っていたけれど、やりたい事は危ないからと反対され、友達と遊びたいと思っても、習い事で自由になる時間なんてなかった。

たまに出かける時は、今日みたいなお付き合いで顔を出さなければいけない展覧会や、パーティ。

本気で付き合える友人なんて、ほとんどいなかった。
唯一、親友と呼べるのは、家族ぐるみで付き合いのある美玲だけだった。

美玲の家も、長峰堂という生活用品で有名な会社。
美玲は、弟がいるからと後継にはならないから、私は自由だよと言っては、私の立場を理解していろんな愚痴を聞いてくれていた。

美玲がいなかったら、どうなっていただろう。

小学校から高校まで同じ学校に通った。

そして、高校生になった時、涼香に出会った。

涼香は、自分の事は詳しく話たがらなかったけれど、不思議と意気投合した。
いつも3人で集まって、いろんな所に行った。

私のかけがえのない親友だ。


この二人にも私は自分の気持ちは伝えていない。

葛城が好きだと言うことを。

それが私の初恋だと言うことを…
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