once again〜season2〜
「おはようございます。有里華お嬢様、早く起きてください」

「っ…もう少し寝かせて」

「ダメです。今日は、教室に行く日ですよ」

教室…
その言葉を聞いて慌てて飛び起きた。

そう、教室とはお花の教室。
習いに行ってるのではなく、私が教室でお花を教えているのだ。

朝からレッスンが入っている事を忘れていた。

「はぁ、昨日の夢は最高だったのになぁ」

「夢ですか?何の夢を見られたんですか?」

葛城は、いつものように廊下で待機しながら聞いてきた。

「誰かは分かんないんだけど、優しく誰かに頭をこう撫でられて、優しく抱きしめられたの。優しく、寝てていいよ。って!耳元で囁いてくれてね!」

「っ…、そ、そうですか。あまり大きな声で話されない方がよろしいですよ?下品です」

「な、なによっ!聞いてきてのは葛城でしょ!夢だからいいじゃん!もう話しないからねっ!」


廊下で待機する葛城に、ドアを開けて叫んでいた。

葛城になんか話するんじゃなかった。
どうせ…私は子供よ。
夢物語しか語れないわよ。


「葛城だったら…よかっ…」

漏れた言葉を飲み込んだ。
望んではいけない…、有里華、だめよ。

私には、親が決めた許嫁がいるんだから。
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