once again〜season2〜
「っ、香田様、確かに有里華お嬢様とご婚約されていますが、玄関先ではやめていただきたい。どこで誰が見ているか分かりませんから…」

いつになく歯切れの悪い葛城に、首を傾げていると、達也さんは笑いながら私にウインクしてきた。

「以後気をつけます。じゃ、有里華さん、また今度ゆっくりとデートしましょう。今度は帰しませんからね」

「えっ?」

聞き返した私に手を振って、達也さんは車に乗り込んで帰っていった。

その場に残された私と葛城。

達也さん、何を言って帰ったの?
何を考えてるの?

混乱していると葛城が近づいてきた。

「香田様との結婚は、早まったかもしれませんね」

「はい?何言ってるの?」

「いや、こんな事言ったらダメでしょうが、軽すぎますよ、香田様は。有里華お嬢様には不釣り合いかと…」

「言ってる意味分かんないんだけど?達也さんはいい人よ。ちゃんと相手の事を思ってくれているわ。葛城には分からないでしょうけどね」

そう言うと、何か言いたそうにしている葛城を置いて私は部屋に戻った。
< 227 / 260 >

この作品をシェア

pagetop