once again〜season2〜
「隠さないといけない…」

それは、慎二さんの苦悩だった。
自分がお仕えする家のお嬢様である私に対して、好きだと言う感情を持ってしまった事。
気持ちを出してはいけないと言う事。

華道家になる為に、家元を継ぐ為に、お見合いをして、他の誰かと結婚するのを見なきゃいけないと言う事。

私が思う以上の苦悩だったに違いない。

「旦那様を裏切ることになるからさ…」

「ならないよ!私がいい!って言ってるんだから!」

「有里華…そうじゃないんだよ。難しい話になるよ。だから…これは二人だけの秘密にしてて欲しい」

「えっ…」

慎二さんと両思いになれたと思ったその日。
私は、まだ秘密にしてほしいと慎二さんから告げられてしまった。
< 241 / 260 >

この作品をシェア

pagetop