once again〜season2〜
「ひ、秘密？ど、どうしてっ」

体ごとぶつかる私に慎二さんは、いつもの執事の表情で言った。

「周りを固めてから…そうじゃないと…有里華と離されてしまうんだ」

「はな…される？」

「あぁ、そうだ。有里華…君は跡取りだと言うことを忘れちゃいけない。分かってるね？」

うん、と頷いたけれど、まだ隠さないといけないと言う事実に私の頭はパンクしそうになっていた。

「有里華…ずっとこうしたかったよ」

パンクしそうになる私の体を力強く抱きしめてくれた慎二さんに、私は全てを預けた。

両思いになれた事。それが分かっただけでもいいんだ。二人の事だから…ゆっくりしていけばいい。

耳元で優しく慎二さんは囁いた。

「有里華、好きだよ」

あぁ、慎二さん。
この腕で抱かれる事を、どれだけ夢見たことか…
慎二さんから、好きだと言われる事が夢のようだった。

「なぁ、有里華…」

「どうしたの？」

耳元で、喋り続ける慎二さんは真剣そのものだった。
どうしたの？と聞き返した私に、達也しんとはどうなっているんだ？と。

慎二さんに、達也さんとの話はなくなっていること。お互い好きな人がいるから、お見合いが成功したフリをしている事を話した。

「そうか…よかった…」

安心したのか、私の肩の上で慎二さんはうなだれていた。

< 242 / 260 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop