once again〜season2〜

「どうした?何があった?」

優しく頭を撫でてくれた。

「何かあったのか?話してみろよ?」

「蓮さん…何も言わないで話を聞いて…」

「…ん?なんだい?」

ソファに腰をかけ、私の手を握ってくれる蓮さんを見つめながら私は喋りだした。

「…今日、園田さんから聞かされたの。兄がSEIWADOから出ようとしている、と。そして私に社長代行をたのもうとしている、と」

見つめた、蓮さんの瞳が驚きに変わったのが分かった。

「な、なんで…」

「助けたい人がいるから、医師に戻りたい、と。まだ私は兄から直接聞いてないの。園田さんが教えてくれたの」

手を握るその手が、いっそう強くなった。

「涼香はどうするつもり?」

「私は…兄がそうなら手助けしたい、とは思ってる。でも、私は社長代行は出来ない。してしまったら、あなたとの結婚は出来ない…それは嫌…」

私は、蓮さんの胸に飛び込んだ。

「涼香…、俺だって離れたくないよ。でも、そうしてしまったらSEIWADOはどうなる?」

「…どうなる、って、そんな。やっとこうやって蓮さんと一緒になれると思っているのに…離れるなんて…」

自分勝手だと言われてもいい、初めて欲しいと思った蓮さんとの生活を守りたかった。

「涼香…」

蓮さんはそれ以上何も言わず、私を強く抱きしめてくれた。

私はどうしたらいいの。
これ以上、蓮さんを苦しめる訳にはいかない…
だけど、社長夫人になろうとしている私が、SEIWADOの代行とは言え、社長になるとしたら、そんな事許されるはずがない。

だけど、今のSEIWADOを常務や専務じゃ回せない。ましてや、体調も万全はない父はもっとダメだ。

やっぱり私が出ないとダメなのか…

結婚延期…

しないといけないのか…

私達は、自分達の存在を確認するかのように、深く抱き合った。
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