once again〜season2〜
園田が、これからどちらに向かいますか?と聞いてきた。
珍しい事もあるもんだな…、この時間なら家だろう、と園田に言いかけて俺は言葉を止めた。

「どちらにしますか?会社に戻りますか?」

どうして、こう俺の考えている事がこの園田だという男は分かるのか。

「あぁ、悪い。会社に戻ってくれ…」

「会社ですね。分かりました」

何も聞かない。
俺に何があったのか、何も聞かないし、言わせようともしなかった。

俺は、涼香や蓮君に言われた事を考えていた。
五十嵐…夏帆の為に、涼香の結婚をダメにしていいのか、延期にしたとしても言って戻れるか分からない状態で、延期してくれないか、と言えるわけもなかった。
如月前社長…現会長からも、この結婚は、涼香を取締役に入れるつもりだから、SEIWADOの役員は辞めてもらいたいとお願いもされていた。

蓮君の事だから、涼香の取締役をなくしたとしても結婚をするだろう。ただ如月との会社同士の関係は悪くなるだろう。
提携している話もなくなってしまうだろう、それでも蓮君は話を進めるだろう、彼の涼香への思いを考えると。

ただ、そこまでして会社を巻き込んでまでする事を、涼香は望んでいない。
涼香がこの話を断るだろう、と。

兄である俺がそれをしていいのか…

答えが出ないでいると、園田が静かに後ろを振り向いた。

「着きましたよ。社長」
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