once again〜season2〜

「ん、あぁ…」

もう会社に着いたのか、早いな。
そう思いながら、園田が運転席から降りてきてドアを開けた。

車から降りて、会社の入り口に向かった。もう夜も遅く、会社に残っているのは警備会社の人間だけ。

園田が警備室に顔を出し、社長室に入る鍵を預かってきた。

「すみません。お待たせしました」

園田の後ろを歩きながら考えていた。

どうする？
園田には夏帆の話は詳しくしていない。
今回、涼香に会社を任せようと思うとだけ、伝えていた。
あれから、園田には話がどうなったかを話はしていない。
話をしてみようか、どんな返事が返ってくるか…

「…長？社長？」

「ん？あぁ、すまん。なんだ？」

「いや、声をかけても返事されなかったので、何かあったのかと、どうかされましたか？」

「いや、園田。コーヒー淹れてくれるか？」

「はい、かしこまりました」

園田に声をかけられていた事に気がついてなかった、とは。
俺もまだまだだな…

「社長、コーヒーです。どうぞ」

「ありがとう。園田、お前に聞いてもらいたい事がある。そこへ座ってくれるか？」

園田にソファに座るよう声をかけた。私は座れません、と言う園田に座れと命じて座らせた俺は、コーヒーを持って園田の前に腰をかけた。

そして、コーヒーを一口飲み園田を見据えた。

「この間、話したよな。俺が会社を離れようと思っている、と」

「…はい、伺いました。今日、涼香さんにその話をされたんですね？」

やっぱり、分かっていたか…。