once again〜season2〜
園田が話を続けた。

「涼香さんは、何と仰っていましたか?」

「いや、二つ返事で、いいよとは言われなかったよ。蓮君にも、反対されたよ。涼香に社長を任せると言うなら、婚約は解消せざるを得ない、と」

「そうでしょうね、如月社長が言う事は最もだと、私も思います」

園田に驚きの表情はなく、自分でも同じ答えだと、言った。

「しかし、社長。どうしてそこまでして、その五十嵐さんですか、助けないといけないんですか?そこに社長が会社を巻き込んでまでしなくてはならない事なんでしょうか」

園田は、失礼だとは思いますが、SEIWADOを任せられている社長の秘書だからこそ、厳しく言わせてもらうと、俺に言ってきた。

「お前は知らないだろう、五十嵐は、夏帆は俺が昔付き合っていた女(ひと)なんだ。ある事情で別れたんだが…だからこそ、今助けてあげたいと思っているんだ」

「社長…」

そう夏帆とは、中学の時の同級生だった。夏帆の家は大きな病院を経営していて、夏帆も医者になる事を夢に頑張っていた。俺もSEIWADOの跡継ぎだと分かっていたけれど、医者になるのが夢だった。同じ夢を持つ者同士、お互い惹かれ合っていた。好きになるのに時間はかからなかった。
同じ医大に通い、研修医時代も同じ病院で過ごした。

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