星空電車、恋電車
ーーーそれは星と神話と音楽のエンターテイメントショーだった。

ひと言で言い表すことなど到底できないプログラムで私の目は天井に壁にあるはずのない天空に釘付けで。
瞬きを忘れて見入ってしまっていた。

すごい。

何がすごいって、移動式のプラネタリウムでありながら美しい映像の投影技術と計算されたスピーカーの配置による臨場感溢れる音楽。

ナレーション技術も内容もどれをとっても素晴らしい。正直、こんなに感動するとは思っていなかった。

ナレーターの「流星群」そんな単語が耳に止まる。

「オリオン座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群ふたご座流星群、しし座流星群ーーー」

思わずごくりと息を呑んだ。

私たちが付き合うきっかけになったのが合宿夜の流星群観測だった・・・。
隣に寝ころぶ樹先輩はどんな気持ちでこれを見ているんだろう。

そっと、隣の様子を窺おうとするけれど、頭を動かさないと樹先輩を見ることができない。

知りたい。

樹先輩がどんな顔をしてこのプラネタリウムの流星群を見ているのか。
昔を思い出してドキドキしてるのは私だけなのか。
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