星空電車、恋電車
再会 樹side
*******
「倉本くん」
今度の天体観測会のビラ配りの手伝いを終えて段ボールを片付けていると、このサークルの1学年上の山下さんに声を掛けられた。
「また柴田に呼び出されたの?君も人がいいね。それともあいつに何か弱味でも握られているの?」
山下さんは俺の幼なじみの柴田沙百合の同級生で、芸能人のようにわかりやすく見映えがいい。
男の俺でも話しかけられるとドキっとするくらいだが、今日の彼はなぜか言葉に棘がある。
なにか気に障るようなことをしたんだろうか。
「いや、強制はされてないですよ。手伝うのは趣味と実益を兼ねてます。まぁ、手伝わないと沙百合がうるさいっていうのも間違ってはいませんが」
「あ、そうなんだ。女の子に頼まれたらイヤと言えないってわけじゃなくて?」
山下さんの口から予想外にも皮肉か嫌味のようなものが吐き出される。
あれ、この人ってこんな事を言う人だったのか?
普段あまり話したことはないけれど、誰にでも人当たりがいいイメージを持っていた山下さんの予想外の言葉に首を傾げた。
「嫌な時は断ってますよ」
どう返事をするのが正解なのかわからず無難に答えた。
ふーん、と言いながらじろじろと俺を観察するように不躾な視線を送る山下さんにこちらも眉をしかめる。
「何か?」
違う大学とはいえ、一つ年上の山下さんに対してタメ口で文句を言うわけにはいかない。
ぐっと堪えながら、もう一度言う。
「何か俺に用ですか」
「ああ、用っていうかさ」
山下さんはまだじろじろとこっちを見ている。何か妙な感じだ。
「倉本君に紹介したい女の子がいるんだけど」
と切り出してきた。
女の子?
「そういうのはいりませんね」
俺は即座に断った。
「彼女とかいるんだっけ?」
「いませんけど、そういうの今はいいんです」
途端に山下さんの表情が変わる。
「いらない?そう、いいの?」
そう言ってうっすら笑みが浮かんでいる。
何だこの人。
自分で紹介してやると言ってたくせに、こっちが断るとどうして嬉しそうなんだ。
「倉本くん」
今度の天体観測会のビラ配りの手伝いを終えて段ボールを片付けていると、このサークルの1学年上の山下さんに声を掛けられた。
「また柴田に呼び出されたの?君も人がいいね。それともあいつに何か弱味でも握られているの?」
山下さんは俺の幼なじみの柴田沙百合の同級生で、芸能人のようにわかりやすく見映えがいい。
男の俺でも話しかけられるとドキっとするくらいだが、今日の彼はなぜか言葉に棘がある。
なにか気に障るようなことをしたんだろうか。
「いや、強制はされてないですよ。手伝うのは趣味と実益を兼ねてます。まぁ、手伝わないと沙百合がうるさいっていうのも間違ってはいませんが」
「あ、そうなんだ。女の子に頼まれたらイヤと言えないってわけじゃなくて?」
山下さんの口から予想外にも皮肉か嫌味のようなものが吐き出される。
あれ、この人ってこんな事を言う人だったのか?
普段あまり話したことはないけれど、誰にでも人当たりがいいイメージを持っていた山下さんの予想外の言葉に首を傾げた。
「嫌な時は断ってますよ」
どう返事をするのが正解なのかわからず無難に答えた。
ふーん、と言いながらじろじろと俺を観察するように不躾な視線を送る山下さんにこちらも眉をしかめる。
「何か?」
違う大学とはいえ、一つ年上の山下さんに対してタメ口で文句を言うわけにはいかない。
ぐっと堪えながら、もう一度言う。
「何か俺に用ですか」
「ああ、用っていうかさ」
山下さんはまだじろじろとこっちを見ている。何か妙な感じだ。
「倉本君に紹介したい女の子がいるんだけど」
と切り出してきた。
女の子?
「そういうのはいりませんね」
俺は即座に断った。
「彼女とかいるんだっけ?」
「いませんけど、そういうの今はいいんです」
途端に山下さんの表情が変わる。
「いらない?そう、いいの?」
そう言ってうっすら笑みが浮かんでいる。
何だこの人。
自分で紹介してやると言ってたくせに、こっちが断るとどうして嬉しそうなんだ。