不良な彼と恋の契約
あなたは今ーー泣いていませんか?

明日が最後なんて、そんな悲しいこと言わないで。
きっと想いは伝わるからーー。


私は、斗真さんに抱きしめられたままーー朝を迎えた。


病院の朝は早い。
機械の音、バタバタ走り回る音があちらこちらで聞こえてくる。

ベッドからそっと降りて、病室を抜け出した。


「………っ。
やだよ、お母さん!!
死なないで、まだ伝えたいことたくさんあるんだよ。

今日が、最後なんて嫌だよ!!!」


小さな男の子。

手術室から出てきた母親に駆け寄り、涙を流してる。


"今日が、一緒にいられるのが最後なんて嫌だ。
皆置いてかないでよ!"ーーーー。



あの日、家族との楽しい旅行は悲惨な形で終わった。

病院は、寂しい。
病院の思い出はーー辛いことばかりだった。



「想ちゃん。

心配したよ」



振り向いたら、斗真さん。
少し焦った様な斗真さんーー。

「ごめんなさい。
私はーーーー「俺は"想ちゃんを置いて行かないから"」


ハッ、として顔を上げたら優しく微笑んでる斗真さんに、私はまた泣いた。

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