不良な彼と恋の契約
「二人のご飯はそれだけ?」

私は二人のご飯を見た。
お弁当じゃない、パンが二つ。

足りるのかな?

「あー、うちらは、パンしか食べないけど。
作る親もいないしな」

「想は、弁当か。
うまそうだな」

相沢くんは、パン片手にニカっと笑う。
佐伯くんは、私のお弁当箱を覗き込む。

「ハンバーグ食べる?」
私は箸で、ハンバーグをつまむと、口元に持っていく。

「はいっ、どうぞっ」

笑顔で差し出す私に、赤くなる佐伯くん。

佐伯くんの口が開かれて、ハンバーグをパクりーーしたのは、佐伯くんじゃなかった。


「おい、ふざけんなよ、類。
テメー」


「あー、美味しいこのハンバーグ。
もしや、手作り?」

「うん、自分で作ってるんだ。
ありがとうっ」

私は素直に、喜んだ。

あ、そうだ。
「はい、佐伯くんっ」

パクっ。

もう一つあったハンバーグを、佐伯くんの口の中に入れてあげた。

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