不良な彼と恋の契約
"ユリは、本当輝が、好きだよな。
なあ、ユリ。

俺と付き合わない?"

俺は、ユリが好きだった。


ユリは、輝の妹。
ただの妹だと、この時は思ってた。


"聞いてない?
私、ただの妹じゃないよ。
輝とは、両想い。
つまり、そう言う仲!"


えっ、そう言う仲?って。
一瞬、頭ん中が真っ白になって訳わかんなくなって、気づいたらーーユリへの悪口を並べて、謝ることも出来ずに真夜中飛び出した夜。



仲間からの電話に、息を飲んだ。






"ユリが、自殺したよ。


お前が、ユリを殺したんだ!
俺は絶対、お前を許さない!"ーーーー



あの時の苦痛に歪んだ輝の顔が、未だに忘れられない思い出の一つだ。


「俺の過去は決して白にはならない。

無かったことになんか、出来ない!
ユリは、この世に居ないんだからーーっ」



仁くんーーーー。




「じゃあ、死ねよ。
死んでユリに謝って来いよ!

俺が悪かったって言えよ!」


輝さんの気持ちが、痛いほど胸に染みる。
だからこそ、言わない選択は私にはない。




「私はーーーー、半年前両親と兄を事故で亡くしました。
今はまだ、いけないけど。
いつか、私が死んだら
一番に"家族"に会いに行くって決めてるの。

"いつか"じゃ遅いかな?
"いつか"に会いに行くじゃダメなのかな?」



私は、ユリさんの気持ちが少しだけわかる。


私にも、大切な人がいるからーー。


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