不良な彼と恋の契約
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私には断る術しか無かった。
ダブルデートの仲を、壊したく無かったから。
新しくできたショッピングモールで、早めに買い物を済ませ、自販機 の一角で、ペットのストレートティーを、飲んでいた。

「ねえねえ、一人?
可愛いね、お茶しない?」

横に知らない誰か、薄汚れた金髪。
ジャラジャラのアクセ。
見るからに、遊んでそうな人。

私は逃げなくては、と立ち上がった。


だけどすぐに腕を掴まれ、抱き締められた。
訳が分からない。
知らない人、不良ーー、しつこい強引さ。
「いやっ、離して!」


助けてーー!!

私が強く願った時ーー私は誰かに腕を引かれた。



えっーーーー?




あれ、この人。。



「何してんだよ、嫌がってるだろうが」


それは、前に班決めの中にいた人だ。


ホッ、として涙が流れた。
彼は、私を胸に収めた。


「なんだよ、ナンパの邪魔すんなよ!いいから返せよ!」

知らない不良が、私に手を伸ばすーーギュッ、と目を瞑り、彼に抱きついた。

不良が掴もうとした手は、彼がしっかり受け止めた。



「あのさーー、人の女に手出すなら命の保証はないけどいい?」


ーー!?

きっと彼は、私を救うためにそう言った。

分かるけどーーー、だって彼は想が好きだから。

不良は、怯え逃げて行く。

「……バカな奴。
大丈ーーっ」

君が、話しかけてるの震えが止まらない。
抱きついたままじゃ、きっと嫌なのにーーー。

君は黙って、私を抱き締め背中を摩る。
その優しさに、また涙してーー。



「ありがとうっ、志貴くんっ。
ごめんなさいっ」


迷惑なのが、分かるけどーー止まらない涙。

離れなきゃ、、

やっとの想いで離れて、感謝の気持ちを込めて笑った。


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