不良な彼と恋の契約
8、*揺れ動く恋心*

初めての感情。

*志貴side*

そして、女の子達はーーパタパタと逃げてゆく。



「おい」

男2人組は、そぅーと逃げようとしてる。

「何、逃げようとしてる訳?
あんたら、今何してた?」

女とは、訳違うよ。
男には、正直容赦ないと思う。

だけどーーーー胸の中に居て身体を震わせてるリナ。

目の前で、ケンカなんて出来ない。

「あんたら、生徒手帳貸してくんない?」.

これしか、方法ない。

「な、なんでっ!?」

「後で、返しますよ〜。
つか、後で会いに行くから覚悟しとけよ。
早くどっか行けよ。
マジ目障り」

「す、すいませんでした!」

「早く、行こうぜっ」

2人分の生徒手帳は、ポケットの中に控えた。


「あ、あの。
なんでっ」

胸の中にいるリナ。

涙を浮かべ、俺を見た。

なんでってーー。

なんでだろうーーー。
気にしないタイプの俺が、気になる。
気になって、気になって仕方ない。

「突き放すなよ。
なんだか分かんないけどーー、突き放されるとムカつく」

ビクッ。
あ、やばっ。

俺がムカつくって言った瞬間ーー。
ビクつくリナ。

「違う。
そうじゃなくて、とにかく無視すんなよ」

あーーーまじ、分かんねー。
どうしていいか、分からない。












「ありがとうっ、志貴くんーー。
グス…っ」





小さなリナが、胸に顔を埋め泣いている。


俺は、片手にリナ。
片手にスマホを耳に当てた。







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