不良な彼と恋の契約
「私の家族はーー



私を一人残して死んだ。

同じ車に居たのにね。
助かったのは、私だけーー」



半年前ーー。


家族で旅行に行った帰り道。


居眠り運転のトラックと正面衝突。
前にいた両親は即死。

お兄ちゃんはーー



"想ーー!!"



私を抱き締めたまま、目を覚ますことはなかった。

奇跡的に助かった私は、軽傷で済んだ。

「こんな筈じゃなかった。
私だけ、生きて居ても悲しいだけなのにーーっー」

私だけーー生きて居ても苦しいだけなのにーー。

私は涙を押さえられない。

フワリ。
抱き締められた。

知ってる暖かさ。
「想ーー生きて居て良かったよ」

佐伯くんーー。

私は佐伯くんの胸で、泣いた。

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