不良な彼と恋の契約
「ヒカリに、嫌われたくなかった。
せっかく仲良くなれたのにーー
嫌われたくなかったのっ」


「ヒカリちゃんーー」


幼馴染みを取るかの選択。

「あたしは、間違ってる奴には容赦ないよ。
言ってくるわ!」


ふっ。

正しいのはどちらか。
本郷は、ちゃんと分かってる。

本郷は、1人背を向け走ってく。
その背中が、凛々しくてーーーー

女なのに、カッコよくて。


「ありがとうっ、ヒカリっ」





本郷の背中に投げかけるのは、
泣いてるリナ。




「大丈夫、リナを1人にはしないよ。
想、お願いね!」



芯が強くて、真っ直ぐでーー

一見男前だけど、繊細で優しい。





「大丈夫か?
立てるか?」

リナは、未だに俺の制服の袖を掴んで離さない。

「ーーごめんなさいっ、腰抜けちゃってっ」


あーーやっぱりな。
俺は躊躇いなんか無く、リナをお姫様抱っこした。

「えっ、きゃっ志貴くん、何!?」

戸惑いの声。

「保健室、行くよっ。
捕まってて」


俺の言葉にぎこちなく、胸にペタン、とくっつくリナ。


おい。
確かに捕まってとは、言ったけど。

「じゃあ、またな」

ん?
ニンマリ、と笑う2人。


「何?」

仁と、想が何故かニコニコしている。

「リナちゃん、ちゃんと休んでね」

俺は、リナを見た。

疲れたのか、胸に身を預けて眠っていた。

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