不良な彼と恋の契約
「リナーー」


未だに、押さえつけられ泣いてるリナの瞳が
俺を見た。

「志貴くんーーっ」

ポロ、と一粒の涙が、頰を掛けた。


あー、俺。

わかったよ。
この気持ち。
どうしょうもない気持ち。

「やべ、冴島だ!!」

「つか、冴島の女!?」

奴らが、尻込みするのはどうでもいい。


「離せよ。

ふざけんなよ!!」


怒らずにいられない。

側にいるリナが、少し怯えたのがわかった。
泣いてるリナ。

未だに、離さない汚い男の手を掴みーー耳元で低く囁く。


男は、青白い顔をしてリナから手を離した。


「逃げーーー「逃げられるわけねーだろうが。
てめーら、そこいれよ!」


奴らは停止し、震えながら立ち止まる。

「リナーー、よかったっ」

リナを抱き締めた。
「志貴くんっーー」

君の声が、震えてる。
俺の腕の中で、泣いてるリナ。

気づいたよ、リナ。

もう、ごましきれない。
頭ん中、リナのことばかり。



どうか、笑わないでーーーー。







「俺、リナが好きだよっ」










目を見開いて見てるリナ。





「志貴くん、好きっ」


好きが広がるーー。



想が、過去になって消えてゆく。

今はーーーー




「リナしか見えないよ俺」

俺は、リナを優しく抱き締めた。





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