不良な彼と恋の契約
「先生、冗談はやめて下さいっ!」


いつもみたいに、からかう口調の先生。
なのに、今はーー真剣過ぎる瞳に惑わされる。

「なあ、甘宮。

佐伯とは、もうーー」


何、聞こえなかった。

ザワザワしたホール内。
みんな楽しそうで、明るい声が先生の声をかき消した。


先生が、耳元で囁く。


「佐伯とは、もうセックスしたのか?」



ーーーー!!


ガシャン。


動揺から持っていたフォークを落としてしまう。

私はそれを拾うと、床に手を伸ばした。

重なる手ーー。



「どうした?
想っ。大丈夫か?」


仁くんっ。


今の会話、聞かれてない?

「何でもないよ、美味しいね!!
デザート取ってくるねっ」

私は、先生から離れたかった。


先生が、笑ったのに気づかぬまま。


動揺からも
逃げたかった。

あるわけない。
先生が、私を好きなんて。

だって私は生徒で。
先生は、担任の先生なんだから。

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