不良な彼と恋の契約
*仁side*

本郷のことが解決したはずなのに、想の様子が変だ。

俺の気のせいならいいんだけど、気になる。
デザートを取りに行く、想の背中が楽しそうに見えない。

「美味しいね、想っ!」

「この、ケーキオススメだよ!」

本郷と片瀬がそばに寄ってきた。
「わあーい、美味しそう!」
また、普通の笑顔。

俺の気のせい。
ただの気のせい。

夕食は、二時間食べ放題。
二時間なんか、正直食い切れないぐらいだ。

腹が、パンクしそう。

「想、美味かったな。
部屋、戻るかーーーー「甘宮。ちょっと来てくれ」

突然割り込んだ声に振り向いたら、嵐先生だった。


ビクッ。

想ーー?


「は、はい。」


なんだ?

「想、一人で平気か?
俺もーー「女の子にしか出来ないことなんだよ。
わりいな、佐伯。
甘宮借りてくなっ!」


それなら、本郷も片瀬もいるじゃん。

だけど周りには居なかった。
だから、仕方ない。

連れてかれる想の顔が、困った様だった。

なのに何も、出来ない。
だって、相手は先生なんだよ。
なんか、あるわけないじゃん。

「どうした?仁っ」


「いやっ、なんでもない」

考え過ぎだ。
あるわけない。

俺はグラスに視線を落とした。

カシャン。
溶けた氷の雫が、床に落ちた。


*仁side終わり*

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