不良な彼と恋の契約
声に出したいのに、出せない。
間がないキスの嵐。

それが、首に移動してーー解放された口から漏れそうになる私の口は、大きな手が塞ぐ。

涙が、頰をかけた。

怖いーー。
輝くんが、怖いーー。


ずっと、優しく守ってくれた輝くんが、一人の男にしか見えなくてーー。

野獣の様に、貪るオスの様で
怖くて怖くてーー仕方ない。

だけど不意に、離れてくから体。




「ごめんーーっ。
けど俺、想が好きだからっ」




君の気持ちが、私は痛かった。


私は、ベッドから起き上がり洗面所に走った。


冷たい床に座り
流した涙は、床を汚した。


だけど、何よりーー
仁くん以外の人にキスされたのが、悲しかった。





「ーーーー仁くんっ。

ごめんなさいーーっ!」





私は泣いた。


誰も気づかれない様に、私はーーーー
部屋を飛び出した。



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