不良な彼と恋の契約
振り向かない想。
背中を向けたままの想に、ソッと近づいた。

「海がね、怖いーー。
昼間はあんなに綺麗な海が、夜になると怖くなる。

まるで、今日の輝くんみたいっ。

ごめんなさいっ、仁くん。
私輝くんとーーーー!!」


なあ、知ってるよ。

輝にされたこと。
めちゃくちゃ妬けるし、めちゃくちゃ嫌だけど。



「それでも離さねーよ?」



君の小さな背中、抱き締めたらーー細くて壊れそうで。


くるり、と向いた想の目に溜まる涙。


「仁くんっ、好きっ!お願い、輝くんとのキス忘れさせてっ」



びっくりした。
正直、想が、そんなこと言うなんてーーーー。


可愛い可愛い俺の彼女。
暗く、彼女が怖いと泣いた海でーー
最高で甘いキスを繰り返した。


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