不良な彼と恋の契約
「ヒカリ、どこだよっ!」


かなり、戻った筈なのに、ヒカリどころか、宇治虫さえいない。

辺りは、茂みだらけ。

茂み?

そうだ、もし何かあるにしてもこんな目に付く道にはいない筈だ。


もし、俺がヒカリと二人になりたいとすればーー


茂みに連れ込む。
考えたくない。

だけど、俺に迷いなんかない。


俺は、茂みを突き進んで歩く。




「やだ!

離して!!!
キモい、変態!
あたしは類だけにしか、興味ないからっ!」




その光はーーーーいつだって、輝く。


宇治虫は、茂みの中。

ヒカリに襲いかかっていた。

少し、顔を歪ませながらーー睨むヒカリは本当に強かった。

だけど。


「ヒカリ!!」


俺が、ヒカリの名を呼んだ瞬間ーー。


一度瞬きした瞳から流れる涙に。


儚くて、綺麗でーーーー俺は、宇治虫をひと殴りしてヒカリを抱きしめた。

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