不良な彼と恋の契約
「最初は、なんだコイツって思った。
俺の名前を、宇治島って呼んだんだ」

あだ名、宇治虫くん。

真一が確か、言い出しっぺだった気がする。

「だけど、それでなんで好きになる?」

何が言いたい?

俺にはサッパリ。

「俺のことみんな、宇治虫って昔からずっと。

だけど、コイツ俺のことを見てーー宇治島って呼んだんだ」


拳をギュ、と握りしめた宇治虫。

きっと苗字で、嫌な思いをたくさんしたんだ。
だけど、それとヒカリとなんの関係が?



まさかーーーー、そんな単純なことで惚れたなんてことは、、無いよな。


名前を呼んだぐらいで。



「俺の目を見て、宇治島って呼んだヒカリちゃんが、好きになった。
あんた、彼氏だよな。
頼む!

ヒカリちゃんを、俺にくれよ!」


宇治虫は、茂みに頭を擦りつけたまま動かない。


本気なのが伝わる。


だけどさあーー。

「ヒカリだけは、やれない。
俺にはーーヒカリしか要らない」

ヒカリの瞳の奥が、揺れたのがわかった。


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