不良な彼と恋の契約
「じゃあね、悪かったね。
なんか、吹っ切れた。
だって、こんな純な子、類は射止められるわけないし?」


純の子?
純の子って私!?

遠くから、鐘が鳴る音が聞こえた。

あっ、予鈴!!

「ごめんね、貴重な休み潰れて。
想、、またね!」


彼女は、振り向かず私の名前を呼んだ。

「あ、あたし、本郷 ヒカリ。
ヒカリでいいよ」

ただ、不器用なだけでーー
きっと彼女は、素直なんだ。

真っ直ぐなんだ。

「ヒカリちゃん、ありがとうっ」

少し照れた様に私を見るヒカリちゃんに、笑顔を向けた。

その目は見開かれた。

ヒカリちゃんが、真っ直ぐ走って来て私を抱きしめた。

「想可愛すぎてやばい!
絶対類なんか、落とされるなよ!類が、好きだからじゃないよ。
あんたが、可愛いからっ」

ヒカリちゃんとはきっと、仲良くなれる。

未来の予感。

無情にも切り裂く本鈴が、遠くで聞こえた。


「「「あ!!本鈴!!」」」

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