不良な彼と恋の契約
流れる曲に合わせてーー若干、奪い合いしつつダンスしてると困った顔の想ちゃん。
わかってる。
困らせてるのは、わかってる。

だけどーー、仁には渡したくない。

輪の中から、一人歩いてくる。
金髪の長い髪が揺れた。


想ちゃんの手が囚われてーー、想ちゃんは抱きしめられていた。


「ヒカリちゃん!!」

本郷ヒカリ。
ちょっと前まで色々あった。
今は良き友人だ。

「想が困ってる。
想の男役ならあたしがやるよ!」

「ちょっ、おいっ」

ヒカリは想を連れ去り、輪の中に入ると、手を握った。

「ヒカリちゃん、ありがとうっ!」

想ちゃんが笑ってる。
さっきまで、困った様に笑う彼女。

今は本気で楽しそうだ。

「ヒカリカッコイイ!
男前っ!」


ヒカリの仲間か。
輪の中から離れた俺は、ポツン、と置いてきぼり。

クスクス、と笑い声が聞こえて来る。
声が逃れたくて、輪から外れた。

今更、輪の中に入るなんてカッコ悪いこと出来ない。

「おい、お前ら輪の中入れっ」

先生の掛け声に、しぶしぶ輪の中に入る俺ら。

なんだか、カッコ悪い。

< 72 / 455 >

この作品をシェア

pagetop