不良な彼と恋の契約
ちらっと見れば、想ちゃんは楽しそうに踊ってる。
流れる曲の中で、小さな君が笑ってる。

あんな顔、させたことなかった。
離れた場所にいる仁は、貼り付けられた不機嫌な顔で、ダンスしてる。

女子のが、引いてるよ。
そりゃそうだ。
不機嫌ヅラの不良が、無愛想にダンスしてるんだから。

「よし、休憩!」


先生の言葉に、一息つく。

フラフラと、倒れこむ様に座る仁に駆け寄った。

「大丈夫か?顔が死んでるぞ」

正直、俺も死にそうだ。
こんな筈じゃなかった。
ただ、大好きな子とダンスしたかった。

奪われたけど。



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