不良な彼と恋の契約
「想っ!?大丈夫か?」

息の上がる想が、フラフラになりながらベッドから降りていた。
と、言うか倒れてる。

その手には、写真立て。

「お、お母さんっ…お父さんーーお兄ちゃんっ」

うわ言のような声。
ダメだ。
置いてはいけない。
こんな想を、残してはいけない。

「想、病院行こう!」

ただ、君が心配なだけ。
一緒に居れば、それでいいだけ。

「ありがとう、佐伯くんっ」


君が、笑った。

辛そうだけど確かに笑った。

フラフラな想を抱き抱え、俺はタクシーを、呼んだ。

< 90 / 455 >

この作品をシェア

pagetop