不良な彼と恋の契約
想の部屋で、見た家族写真。
幸せそうな想の笑顔。

今はーー、あんな笑顔見たことない。


「どうぞ、こちらへ」



呼ばれた診察室には、想は居なかった。

代わりにいたのは、無愛想ずらの男の先生が1人。

「あの子の、家族の方はーー」

家族ーーーー。



「想の家族は、、半年前にーーーー」




半年前、それまで普通に過ごしたかけがえない家族が居なくなった。


計り知れない悲しみ。
残されたのは、想だけーー。

朝を迎える恐怖。

1人ぼっちの夜。

ずっと、1人だった想。


泣き虫な想が、小さな体で耐えてきた辛さ。
半分しか理解してあげられない。

「だからじゃないけどーー、俺が想の家族でありたい。それじゃ、いけませんか」


先生は、静かに、言った。



「二十歳以上の、保護者が必要なんだ」


ああ、やっぱり。

俺はまだガキだ。

二十歳以上なんて、頭に浮かぶ奴に電話をかけた。

頼りたくない。
自分以外に頼りにして欲しくない。
だけどーー俺はまだガキだから。

頼るしかないんだ、、斗真に。。

< 93 / 455 >

この作品をシェア

pagetop