明日を夢見た君へ
病院に出かけると報告してから僕と彼女は丘を目指す。

この坂を上るのも久しぶりだ。

季節もめぐりまた景色も姿を変える。

「うわぁ、変わったねぇ……。」

そう言いながら自然と戯れる彼女は妖精か精霊か。

どっちと言われても納得出来る美しさだ。

「ねぇ、私、この景色大好きなんだぁ」

と彼女は僕に言う

「どうして?」

「私が前住んでたところは結構な都会でね、景色なんてビルだらけで姿も直ぐに変わるから覚えていられなかったの。でもここは変わらない……。」

僕はその言葉を流しそうになった。

「覚えていられなかった……?」

「そう、記憶が無いこと、自分でもわかってる」

そう言って笑った。
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