明日を夢見た君へ
「気づかないわけないよ、君の名前を忘れて、小さい頃が思い出せなくて、友達がいないんじゃなくてきっと思い出せないだけで……。」

どんどん彼女の目に涙が溜まる。

よく良く考えればわかる事だった。

彼女は僕の名前を「思い出せない」と言ったのだ。

気づかないのなら「知らない」というはずなのだ。

「きっとこの先も忘れちゃうんだろうなぁ……やだなぁ……覚えてたいなぁ…。」

そう言って零れた涙は涙ではなかった。

淡い青色の花弁。

目から花弁がハラハラと落ちる、落ちる。

僕は駆け寄り彼女の瞳を覗いた。

花弁が1枚、減っている。
< 21 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop