X'mas Present
「ああ、じゃあ」
なぜか嬉しそうに楽しそうに誠は戻って来ると、莉乃に笑顔を向ける。
「ごめん。どうなった?この話」
何事もなかったように、誠は莉乃の隣に戻るとテレビに視線を向ける。
「えっと……」
今の電話が気になり、ほとんど見ていなかった莉乃は、曖昧に答えながら誠に尋ねた。
「今の電話仕事?」
どうしてもダイレクトにその女の人は誰?と聞けず、莉乃はチラリと誠に視線を向ける。
「ああ、そう、うんそんなもの」
(本当に?)
女の第六感というものは存在するのか、莉乃は今の誠の返答が確実に嘘だと分かり、さらに質問を続けた。
「へえ、どこの人?仕事の内容なら私も知っておかないといけないでしょ?」
結婚してから直属の秘書からは離れているが、誠の仕事や経営をサポートする立場からすれば当然の話のはずだ。
「いや、まだ大丈夫。莉乃の手を煩わすまでもない」
莉乃を全くみることなく、あやふやな態度を示す誠に莉乃は悲しいやら、自分の気持ちが乱れるのが解り、なんとかその気持ちを抑え込み、テレビに集中しているふりをした。