X'mas Present
ぼんやりと外をみながら、これからどうしようか思案する。
(あの時、少しでも誠が言い訳をしてくれてたら、許したのに)
何も言ってくれなかったことで、急に昔の付き合う前の誠がよみがえってしまった。
こうなっては、自分の性格上しばらく立て直すのに時間がかかることも莉乃自身解っていた。
どうしようかな……。
有給が余っていたことから、比較的長めの年末の休みを取っていた莉乃は、明日から休暇だった。
クリスマスまであと4日という事もあり、ツリーなどを飾って準備をするつもりだったのだか、こんな事になり、莉乃自身ため息をついた。
(こんなクリスマスになるはずじゃなかったのに……)
涙が流れそうなのを、必死に押し込みスマホを取り出した。
情緒不安定な自分が嫌になり誠に連絡をしようとするも、何を言っていいかわからない。
そんな時、店の外を慌てた様子の誠が、莉乃の視界に入った。
とっさに視線を逸らし席を立ってトイレに逃げ込む。
(これじゃあ、初めて会った時と同じじゃない)
初めて誠にあったBARでのことを思い出し、莉乃はまた切なくなった。
付き合い始めてから今までずっと、誠の事を莉乃は信じていた。
やはりどうしても誠と話す気にはなれず、覚悟を決め、誠がいなくなったのを確認すると、タクシーに乗り込んだ。
「東京駅まで」
そう告げると、莉乃は久しぶりの実家へと電車に乗っていた。
寒い中、探している誠にラインだけをした。
【しばらく一人にさせてください。探さないで】
そのラインからすぐに携帯が何度もなるのを、莉乃は電源をオフにした。