X'mas Present
お風呂に入ると、やっと凍えた体がほぐれる気がして莉乃は大きく息を吐いた。
それと同時に涙があふれだす。

今更ながら自分だけが幸せだったのか?そんなネガティブな気持ちがあふれ出る。

(結婚もした今だからこそ、きちんと話をしないといけないのに……)

涙を拭って、気持ちを整えると莉乃はお風呂からあがり、リビングへと足を踏み入れた。


「誠さんから電話があったわよ」
さらりと言った母の言葉に莉乃はギクッとして動きを止めた。

「落ち着くまで時間をくださいって伝えた。それでよかった?」

その言葉にホッとして、莉乃は「ありがとう」とつぶやいた。

「でも、誠さんだって心配するでしょ?せめて居場所ぐらい伝えなさい」
呆れたように言った母の言葉に、莉乃はギュッと唇をかみしめた。

(だって……私がいなくて喜んでるかもしれない。昔のように遊べるって……)


そっとスマホをだし電源を入れると、何十件という数に莉乃の罪悪感が募る。
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