スーツの君と制服の私
「ノア、なに、ボーっとしてんの?」
愛理の言葉に我にかえる。
昨日、海斗さんのことずっと考えてたから
あまり眠れなくて。
まあ学校で寝ればいいやって思ってたけど
結局ずーっと考えてたからチャイムの音も耳に入ってこなかった。
「ん?あぁ、なんもないよ。」
愛理にこのこと言ったらどう言うんだろ?
友達って存在がずっと居なかったら、相談ってどうすればいいのかわからないし、
第一、年齢嘘ついてるなんて言って引かれても困るし…。
「ノアに言わないといけないことあるの!」
愛理の表情からしてだいたい察しがつく。
「匠くんのこと?」
匠くん、愛理の好きな人。
この高校の先輩で、愛理は毎日のように匠くんのことを嬉しそうに報告してきた。
「うん!付き合ったの!!」
…マジか!!
この前まで脈なしかも〜なんて言ってたのに。
「よかったじゃん!」
なんか、愛理の方が
男を知っているような気がして少しだけモヤモヤした。