スーツの君と制服の私





読む本は、最初は恋愛小説とかにしてたけど
大人ぶって最近は哲学の本とか読んじゃってる。



字が難しくてあんまり内容が頭に入ってこないけど。



「いつも難しそうな本、読んでますね。」



え?

初めて話しかけられた。



ドキドキする。

でも、ドキドキしてるなんて思われたくない!


照れた顔を隠しながら


「こういう本が好きなんです。」と、答えた。



どうしよう。


いつか話できたらなぁって思ってたけど
いざ話しかけられると心臓が爆発しそうで。



てか、心の準備できてなかったし!!


「あ、ごめんなさい。読書中に話しかけて。」


いやいや、もっと話してほしいです。

そんな気持ちとは裏腹に
「あぁ、はい。」とクールに返す私。


私も質問しなきゃ。


聞きたいこといっぱいあったはずなのに
言葉にでない。


「何歳なんですか?」

この人が発する言葉ひとつひとつに
ドキドキと脈が打つ。



何歳って言おうか。どうしよう。
17歳なんて言ったら子供じゃんって笑われちゃう?
大人ぶってるのがバレるかな?


「…20歳です。」




私は彼に、


嘘をついてしまった。
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