まだまだ。
「おう、お疲れさん。」

職員室を後にして、園長室と事務室に挨拶に行くと

「航、今日までは実習生だけど
無事クリアした今からは同僚だからな。
男二人、仲良くやっていこう。
ここは年下ばかりなのに、女の園だけあって怖いぞ。」と

笑っていたら

「これから何か予定がある?なかったら飲みに行かないか?」と

嬉しい誘いをされた。

「はい、喜んで!」

後30分程かかるという仕事を待つことにして

職員室に戻ると

「あれっ?忘れ物??」

「いえ、悠人先生に飲みに誘われて……
仕事が終わるまで待つことになって。」

「ははぁ~ん、牽制かぁ!
唯ちゃん争奪戦が始まった。」

梓先生の言葉に

「もう、変なことを言っちゃあダメ。」と唯ちゃん。

やっぱり悠人先生も、唯ちゃんが好きなのかなぁ。

「航、ここのメンバーは全員航の味方だから
悠ちゃんなんか年寄りに負けるな。」

海晴先生の言葉に被って

「誰が年寄りだぁ。
悠ちゃん、唯ちゃんなんて呼んでると主任先生に大目玉を喰らうぞ。」

「誰が大目玉を喰らわすんですか?
怒るなら自分で怒って下さいね。
私を悪者にしないでください、悠人先生。」と

悠人先生と主任先生が笑いながらやって来た。

ホントにこの幼稚園は、みんな仲が良いなぁ。

「ほらほら、みんなはカラオケに行くんでしょう?
仕度が済んだら、早く行きなさい。
せっかく早く終わったんだから。
悠人先生も、航先生を待たせてるんでしょう?
さっさと済ませないと。」

主任先生に追い立てられてみんなが移動する中で

「帰ったら電話するね。」と

小声で唯ちゃんに伝える悠人先生がいた。

唯ちゃんとプライベートの電話??

失恋確定のゴングが、頭で鳴った。
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