まだまだ。
「お疲れ、これからよろしくな。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

二人でビールの入ったグラスを合わせる。

乾杯をしてからは

女の園の辛さ、子供たちの可愛さ。

失敗談なんかを話してもらいながらお酒が進む。

強いのか、飲み始めて結構たつのに乱れることもない。

僕も顔に出ることもなければ、醜態をさらしたこともない。

帰って布団に入った時、いつもより寝付きが良いくらいだ。

「航は、ホントに子供が好きだよなぁ。
俺もそうだけど、つい目で追ってるもんな。
泣くのを我慢してる子に、イタズラしようとして目をキラキラしてる子。
ちょっと違う行動をする子がいると、つい目で追ってる。
それも、スゴく楽しそうな顔で。」

そんな風に僕の事を見ててくれる、悠人先生に感動した。

「ありがとうございます。
この世界に男の僕が入るのは………正直、悩んだから。
これ程受け入れてもらえて、ホントに嬉しいです。
妥協して、保育園か小学校にしようか?と悩んだ時期もあったから。
ここに就職出来て良かったって、心から思ってます。」

「そっかぁ。
まぁ今回俺が見てたのは、適性の判断のためだったんだけど
航が良い奴だっていうのは、分かった。
さっきも言ったけど、航には長く勤めてもらいたいし
期待してるから、本気で頑張れよ。」

「失礼な事を聞いても良いですか?
悠人先生って……独身ですよね?
この仕事で、家庭を持つのって…………大変ですか??」

僕の質問に笑いながら

「給料の事なら、大丈夫だ。
航の頑張りしだいだけど
園長も男を雇うからには、家庭を持てるようにして
長く勤められるようにしたいと言ってたから。
俺が結婚してないのは、単に彼女がいないからだ。
良い男なのに、モテないんだよなぁ。
この幼稚園での扱いを見ただろう?
一応上司なのに、誰も尊敬してないんだ。
女の園の男の立場は、かなり低いから覚悟しろよ。」って。
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