まだまだ。
「「乾杯!」」

海晴先生は、幼稚園のイメージからすると

ビールを豪快に飲みそうなのに、甘めの酎ハイだったから意外だった。

「ビールじゃないんですね?」という僕に

「私が酔っちゃうと、航が酔えないじゃない。
今日は酎ハイをチビチビ飲んで話を聞くから、航は酔って愚痴っていいよ。
聞いた事は、誰にも話さないから。」と。

1つ年下のはずなのに

先輩はやっぱり頼もしい。

僕は…………

唯ちゃんと出会った大学の事、幼稚園でドンドン好きになった事

今日の指導を楽しみにしていたのに、メモや海晴先生の登場に

スゴく距離を置かれて気がして、悲しかった事を伝えた。

「うん、うん。」と相づちをうってくれて

聞き上手な海晴先生。

甘えついでに悠人先生と唯ちゃんの関係を聞いてみたけど

それについては、ハッキリ答えられないと怒られた。

唯ちゃんは大切な友達だからと。

ただ……

「片思いでも良いじゃない。
それよりも、今よりも仲良くなれるように
話しかける必要はあるよ。
同じ職場の仲間としても、もう少し話した方が良いから頑張れ。
唯ちゃんから話して慣れてもらうのは無理だからね!
悠人先生だって、1年かかってやっとだから」と。

そうだったんだ。

唯ちゃんと悠人先生だって1年かかったんだ。

安心すると急に酔いが回り始め…………しまいには酔っぱらった。

頭の隅で

150㎝ない小さな体で、一生懸命タクシーに乗せてくれる海晴先生を

可愛いと感じた。
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