春の魔法
白と赤の魔法使い
3月に入り、厳しい冬の寒さは、徐々に和らいでいく。

俺は、山吹 琥白(やまぶき こはく)。久しぶりに、友達の近藤 美影(こんどう みかげ)と魔法図書館までの道を歩いていた。

「久しぶりに、美影と図書館へ行くような気がする…」

俺がそう呟くと、俺の少し前を歩く美影が「僕も琥白と来るのは久しぶりだよ」と返した。

図書館に行くのは、本当に久しぶりだ。最後に行ったのは、1年生の冬頃。今から、大体1年前だ。

「魔法図書館に着いたよ!」

美影は、ある建物の前で立ち止まった。ここが図書館だったような…と思い出しながら、図書館の建物を見上げていた。

俺は、図書館に行きたくなったが道を忘れてしまった。なので、美影に頼んで道案内をしてもらった。

「琥白が、図書館に行きたいって言い出したから驚いた…」

美影はそう言いながら、図書館の扉を開け、中に入っていく。俺は、美影の後を追うように慌てて中に入った。

「美影!」

上から誰かの声が降ってきた。上を見上げてみると、若竹 氷翠(わかたけ ひすい)が空に浮きながら、本を読んでいた。氷翠さんは、美影の彼女だ。美影が、冬祭りの日に告白をしたらしい。

「…あれ、琥白じゃん。どうしてここに?」

氷翠さんは、俺を見ながら首を傾げている。

「…特に意味は無い」

俺は、氷翠さんの質問にそう答えた。

「そっか…」
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