春の魔法
翌日の放課後。俺は、1人で散歩をしていた。公園を通り過ぎようとした時。
公園のベンチに座っている少女を見つけた。紅月 瑠梨(あかつき るり)さんだ。俺は、瑠梨さんに近寄り、「瑠梨さん?」と声をかけた。
「琥白くん?どうして…」
「…俺は散歩していただけだ」
「そう…」
「…大丈夫かよ…いつもの元気がないな」
今の瑠梨さんは、学校の時と雰囲気が全く違う。俺は、その雰囲気に違和感を覚える。
「私、氷翠と絶縁したでしょ?」
瑠梨さんは、急に話を始めた。
瑠梨さんは「……ま、いいや」と話を止め、ベンチから立ち上がった。
「また、いつか」
悲しそうに笑って、俺に背中を向けて走り去っていく。俺は、その場に立っているだけしか出来なかった。
「なんだったんだ?今の…」と呟きながら。