春の魔法



今は、魔法演習の時間。

氷翠さんは、クラスメイトに囲まれていて困っている。その様子を見た先生は、クラスメイトに向かって「おい」と言い、一旦言葉を切った。

「…お前ら!また、走らされたいのか!?」

「やめてくれよ」と、俺は叫びたくなった。グランドを10週、走らされたことがある。あれは辛かった。

先生がそう言っても、皆はやめようとはしない。俺は、無表情で先生を見ていた。

「…グランドを20週に増やす!全員、走って来い!!」

先生が怒鳴るように言うと、やっと周りが静かになった。代わりに「また?」と言う声が、たくさん聞こえてくる。

俺は「嫌なら、最初からやめてくれ…」と呟いた。

「早く走って来ないか!!」

先生に怒鳴られ、またグランドを走らされている俺たちであった。

次からは、走りたくないものだ…と心の中で呟きながら。
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