姫は王となる。

帰還






「王様、お帰りをお待ちしておりました」


城の正門まで帰って来ると、老婆が頭を下げて待っていた。

「…あの者たちは?」

馬に乗ったまま、村から先に帰した子供たちのことを尋ねた。


「入浴をさせ、傷の手当てを致しました。今は、客室で眠っています」

「そうか…」


あの子達が無事に城に到着したことに、ホッとする。


「王様、今日はもうお休みください。明日、大臣たちを召集し会議を開きますので」

風はそう言いながら、先に馬から降りた。
そして、手を差し伸べる。

「あぁ…そうさせてもらう」

その手をとると馬から降り、地面に足を着けた瞬間、ドッと疲れが出たような気がした。



「王様、こちらへ」

「あぁ」

老婆が、城の中へ入るよう促す。


「それでは、王様。ゆっくりとお休みください。失礼致します」

風は膝まつき頭を下げると、すぐに立ち上がり速足で行ってしまった。







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