姫は王となる。
「忙しいのに、申し訳ない。風」
建物の入口まで来ると、老婆が待っていた。
「いえ…王様に何かあったのですか?」
老婆の様子から、緊急の事態ではないことがわかる。
「ここでは、話せない。場所を変えましょう」
「それでは、私の部屋でよければご案内します」
「人払いはできるのですか?」
「もちろん。副長に伝えます」
「では、そこで」
私の部屋と言っても、護衛長としての部屋だ。
建物の二階の一番奥が、護衛長の部屋。
老婆と共に本部の中に入ると副長を呼び、二階に誰も近付かせないように指示を出した。