姫は王となる。
シーン…と、静まり返った城の中を歩き出す。
コツコツと、足音しか聞こえない。
「…」
…本当に、父様と兄様は亡くなってしまったの?
隊は、ほぼ全滅って…風は?
風は生きているの?
さっきまで幸せな気持ちでいっぱいだったためか、今起こっている状況を受け止められない。
私が王になるー…?
そんなの無理に決まってる。
後を継ぐのは、兄様だと小さい頃から皆が言っていた。
だから、私は王の勉強などしてこなかった。
私は、風と結婚することだけを願って生きてきたから。
でも、その風も、もう…
この世に、いないかもしれないー…