姫は王となる。





「花蘭様、お待ちしておりました。只今、応援部隊を現場まで送り状況を把握しております。今しばらく、お待ち下さい」

なんとか部隊の本部まで辿り着くと、騒然とした現場に目を見開いた。

行き交う警備兵たち。

中には、血だらけの姿の者もいる。


「花蘭様…あちらで待ちましょう」


老婆がそんな状況を見かねて、部屋の奥にある個室へと案内しようとする。


「…いや、いい」

首を振り、老婆の案内を断った。


「花蘭様…」


心配そうに見つめる老婆とは目を合わせず、周りを見渡す。



風は…




風は…いないの?



たくさんの人達が行き交う中、風の姿を探す。




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